毎日きちんと朝食を摂っているあなた。
あなたはゴハン党でしょうか?それともパン党ですか?
最近は日本人の食事の西洋化が進んだためか、朝はトーストなどパンを主食とする方が多いようです。
もしあなたがパン党だとして、食パンをトーストするのなら、基本、上に塗るものはバターかマーガリンでしょうね。
ところで数年前にネットや週刊誌では、マーガリンに含まれる「トランス脂肪酸」は体に危険で、食べるべきではないと大きく叫ばれていました。
今でもネット検索すると、依然、マーガリンをやめバターに切り替えなさいと主張する記事がたくさんあります。
でも、未だ日本のスーパーでは、普通にマーガリンは販売されています。
これは、一体どう言うことなのでしょうか?
今回は、果たしてマーガリンは危険で食べちゃダメなのか、それとも嘘なのか、追求してみたいと思います。
マーガリンが危険と言うのは本当?トランス脂肪酸の存在がその理由?
そもそも事の発端は、下記のできごとからです。
あなたもご承知だと思いますが、バターは美味しいものの焼く前の食パンには固くて塗りにくく、それに何と言っても値段が高いですよね。
そこで扱いが容易で、安く手に入るマーガリンが代替品として開発されました。
マーガリンは植物油が主原料なので、常温では液状で固まりにくい性質があります。
このままでは、マーガリンはバターの代替品にはなりません。
そこでメーカーでは製造過程において、マーガリンが常温でも固まる加工をしています。
その時、成分としてできてしまうのが、たびたびヤリ玉に挙がるトランス脂肪酸です。
トランス脂肪酸は心臓に悪影響を及ぼし、心臓発作や動脈硬化を起こしやすいことが医学界で証明されています。
世界では2010年くらいまでは、トランス脂肪酸が危険と言う認識がまだ甘く、マーガリンを大量に摂取していた欧米諸国では、多数の心臓病の犠牲者を出したのです。
これに対応して、各国ではマーガリンの使用を禁止したり、カナダではトランス脂肪酸を含む食品の製造を禁止する措置が取られるようなりました。
WHO(世界保健機構)も2003年、トランス脂肪酸の摂取量を、1日の全カロリーの1%以下に抑えるよう呼び掛けています。
またある学者は、マーガリンを固める過程を “プラスチック化させる” との表現で論文を書いたために、「マーガリン=プラスチック」と認識されるようになってしまいました。
その結果、「マーガリンを食べることはプラスチックを食べること」と言う常識が、人々に植え付けられてしまったのです。
一方、日本国内では、政府の対応はどうなのでしょう。
農林水産省のウェブサイトを見ると、日本人の食事摂取基準(2015年版)では次のように書かれています。
★「(2014年3月、厚生労働省)では、脂質に関しては、総脂質と飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸について目標量や目安量の基準を定めています。トランス脂肪酸について、目標量の基準は定められていません。」
これは何に基づき書いているかと言えば、トランス脂肪酸を気にしてマーガリンの使用を禁止しバターのみを許可するとしても、問題の解決にはつながらないとしているのです。
つまりマーガリンとバターを比較した場合、トランス脂肪酸が減っても、今度はバターに多く含まれる飽和脂肪酸の摂取量が増えてしまう問題が起こると言うこと。
飽和脂肪酸の摂取量が増えてしまうと、動脈硬化ばかりでなく肥満に悩む人々も多くなってしまうと言うんですね。
農林水産省では、現在日本人が摂取している2つの脂肪酸の量の平均は、次の通りに公表されています。
★「・トランス脂肪酸0.9g(1日あたり) ・飽和脂肪酸19g(1日あたり)」
また、一般のマーガリン100gに含まれるトランス脂肪酸の量はせいぜい10gで、一般のバター100gに含まれる飽和脂肪酸の量は50g前後だそうです。
これらを元に計算すると、WHOが定めた1日に摂取して良いトランス脂肪酸の総摂取量が1%ならば、日本人はだいたい0.3%くらいの摂取量になります。
つまり、トランス脂肪酸の摂取過多を心配するより、むしろバターに多い飽和脂肪酸の摂取の方に気を付けるべきだ、と言うことになるのです。
さらにマーガリンを製造しているメーカーも、ずっと何もしていない訳ではありません。
ミヨシ油脂ではウェブサイトで、こんなことを述べています。
★「バターのかわりに使うものというイメージがあるマーガリン。実は、バターには出せないおいしさが出せるのです。(中略) 気になるトランス脂肪酸も、今ではバターのおよそ半分ほど。植物性なのでコレステロールもほとんど含まない、体にやさしい食品なのです。トランス脂肪酸が気になるから、マーガリンの代わりにバターを使うとおっしゃる方がいます。いえいえ、とんでもない誤解です。油脂メーカーの努力もあって、今やマーガリンに含まれるトランス脂肪酸は、バターの約半分にまで低減されました。100gのバターには1.9gのトランス脂肪酸が入っていますが、同じ量のマーガリンには0.99gしか入っていません。バターもマーガリンも、安心してお召しあがりいただける食品なのです。」
日本マーガリン工業会も平成17年に、次のような発表をしています。
★「日本人はトランス脂肪酸の摂取量及びエネルギー比が欧米人と比べ少ないから安心」
★「日本人はトランス脂肪酸の害を低減するリノール酸の摂取量が欧米人に比べて多いから問題ない」
以上全てを要約すると、確かにトランス脂肪酸そのものは危険で、摂取しないことに越したことはない。
でもそれより日本人は、バターに多く含まれる飽和脂肪酸の方に気を付けるべきではなかろうか、と言うことになるでしょう。
そもそもマーガリンとバターはどう違うの?
すでにご存知の方も多いかも知れませんが、バターは簡単に言うと、牛乳を原料にして作られた脂質ですよね。
牛乳をギュッとしぼって、残った脂肪分がバターと言う訳です。
常温では溶けにくく、焼く前の食パンには塗りにくい性質があります。
動物性脂肪であるため、コクのある味で塩分も多めです。
それだけに飽和脂肪酸が多く、摂り過ぎるとコレステロール値が上がりやすくて、動脈硬化・糖尿病・肥満になりやすくなります。
対してマーガリンは原料として、なたねオイルやコーンオイルなど植物性の油脂を使っています。
味は植物らしく塩分がバターより少なく、さっぱりめです。
ただ植物性のため常温では固まりにくく、液体になっています。
マーガリンは、元々バターの代替品として開発されたものなので、同じように固形化するため水素などを使って固めています。
固形化する過程で本来持っている脂肪酸とは別に、人工的に脂肪酸ができあがり、これが前項で悪者とされたトランス脂肪酸になるのです。
しかし今や日本のマーガリンメーカーは、世界的な批判を受けて品種改良を施し、体に優しいマーガリン作りに努力しています。
その結果、前述のミヨシ油脂では、同社が製造するマーガリンに含まれるトランス脂肪酸の量は、一般のバターの半分ほどになっているんですよ。
健康面で見ると以前と比べ、マーガリンとバターでは日本で見る限り大きな違いはないでしょう。
ただし共通することは、どちらも健康を維持するためには、摂取のし過ぎには気を付けるべきと言うことになりますね。
結論!マーガリンがプラスチックと言うのは全くの嘘だし今はむしろ安全
常温では本来液体の、植物油脂からできたマーガリンは、バターの代用品にしようと開発されました。
ところが、製造過程で固形化するために水素を添加することで、トランス脂肪酸が副産物としてできてしまいます。
この過程をある学者が著した本の中で、オイルを固めてプラスチック化したものがマーガリンと述べたことがきっかけになり、「マーガリン=プラスチック」と認識されるようになってしまいました。
これが「マーガリンを食べることは、プラスチックを食べることと同じなので危険」とされてしまったのです。
でも事実は、現在ではもう全くのデマで嘘なのです。
そもそも日本人にはマーガリンの絶対消費量の少なさで、危険性はありませんでした。
また数年前と比べ現在のマーガリンは、トランス脂肪酸の含有量はグッと少なくなり、むしろバターよりも減っています。
マーガリンの使用を止めてバターに切り替えれば、健康上問題ないと言うのは大きな間違いです。
マーガリンにしろバターにしろ、過剰に摂取しない限り我々日本人は安全なのです。
マーガリンもバターも適量を使うことが、健康を保ちながら美味しくいただける秘訣であることを、あなたも良く覚えておいて下さいね。