『東海交通事業城北線はマナカが使えない?』車窓から見た景色とその乗り心地

 

「東海交通事業城北線はマナカが使えない?」

あなたは、この名古屋の北部を東西に走る、全線わずか11.2㎞のローカル線をご存知でしょうか?

 

 

恐らく地方に住んでいる方なら、多くの方はご存知ないでしょうね。

都会の近郊なのに、1両の気動車が起点から終点まで行ったり来たりするだけの、マイナーな鉄道です。

しかも、今どき珍しくマナカなど交通系カードが一切使えず、現金でしか乗れないと言う、時代遅れの料金支払いシステムを採用しているんですね。

 

こんな車両から見える景色はどんなものか、また乗り心地はどうなのか、私が乗ってみたのでレポートいたしましょう。




 

東海交通事業城北線は何もかもが不便 こんな路線はいらない?

 

まずは、起点駅となる勝川駅(愛知県春日井市)から発車する車両、「キハ11-300系マイクロエース」の雄姿を動画でご覧下さい。

 


協力 オレンジトレインさん

 

私は決して、乗り鉄でも撮り鉄でもありません。

 

なのになぜ城北線に興味を持ったかと言うと、他の鉄道と比べ利用客に不便な路線の魅力に付いて探ってみたかったからです。

 

それと地元の路線なので、ちょっと親近感があったんですね。

 

とにかく冒頭でお伝えしたように、マナカやトイカなどのICカードは全く使えません。

東海交通事業と言う会社が、JR東海の子会社であるにもかかわらずですよ。

 

しかも乗車前に切符が買えるのは、JR勝川駅と終点の枇杷島駅(愛知県清須市)だけ。

途中の駅は全て無人駅なので、乗車切符(整理券)は車内でしか手に入りません。

 

車両へは後乗り前降りで、料金は降車時に料金箱へ整理券とともに入れます。

お釣りは出ないので、小銭がない場合はあらかじめ、運転席横の両替機で両替をしないといけません。

 

ただしそれも千円札以下でないとダメで、五千円札や一万円札は使えないのです。

ちょうど路面電車と同じようなシステムですね。

 

また終点の枇杷島駅で降車する際は、料金を支払ったら運転士より「乗車証明書」と印刷された磁気切符をもらう必要があります。

枇杷島駅は自動改札機を通らないといけないので、この切符がないと改札を出られないのです。

 

それから城北線は全て高架の上にプラットホームがあるため、枇杷島駅以外は階段を昇り降りしなければなりません。

随分と長い階段なので、車椅子の障がい者や脚の悪い高齢者は、実質利用できない鉄道と言えるでしょう。

 

起点の勝川駅も、すぐ近くにあるJR勝川駅とつながっていないため無人駅となっていて、駅と駅の距離は500mほどあります。

それから書き忘れましたが、途中の4つの駅で降車する時は、料金を支払ったら自分でボタンを押してドアを開けないといけません。

 

逆に乗車する時も自分で開けて、乗り込んだら自分で閉める作業を行います。

ドアの開閉は、セルフサービスと言う訳ですね。

 

そして私が感じた究極の不便は、もし春日井方面から一宮や岐阜方面に向かうため城北線を使いたいと思っても、1枚のJR切符で名古屋駅方面をスルーできないことです。

 

路線図を見ると、勝川駅から枇杷島駅まで乗れば、確かに名古屋市内を走る中央本線をバイパスできるのですが、一応鉄道会社が違うので切符を買い直さないといけないのです。

しかも料金が、勝川駅から枇杷島駅まで大人450円と、ちょっと高い。

まぁ会社側にはそれなりの理由があって、現状このような形になっているのですが、利用者に取って不便なのは確かでしょう。

 

 

東海交通事業城北線の魅力は車窓から見える景色と乗り心地だ

 

想像以上に不便さが目立つ城北線ですが、ではこの路線に魅力と言うものはないのでしょうか?

いいえ、決してそんなことはありません。

それは、この列車に実際に乗ってみれば分かること。

 

路線は全線立体化されて高架上を走っているので、車窓から見える景色がバツグンです。

 

 

途中踏切はないし電化されていないので架線もなく、それを支える電柱もありませんから、まるで低空で飛行機に乗っているかのような気分が味わえるんですね。

ローカル線なのに見える景色は山や田んぼではなく、住宅地や色んな工場です。

 

遠くには名古屋駅のタワービル群も確認できますよ。

線路のすぐ横には東名阪自動車道が並走しているし、名古屋高速道や名鉄電車の小牧線と犬山線を横切ります。

 

しかも、車両のキハ11-300系の乗り心地がとても良い。

 

ディーゼルなので電車より少々車内はウルサイのですが、振動は少なく鉄道特有の横揺れもほとんど感じません。

それでもって決してチンタラ走るのではなく、最高速度90㎞くらいまで出すので結構スピード感があり、まるで、以前開催された愛知万博開催時に作られたリニモに乗っているかのよう。

 

その秘密は、調べたところによると、使っているレールにもあったのです。

城北線に使用しているレール、これは在来線とは異なる1067mのロングレールを使っているんですね。

 

このレールは、かつて新幹線で使用していたものを流用しているんだとか。

そのため継ぎ目を乗り越えるガタンガタンと言う音が少ないし、列車が1両なのでそのショックも非常に小さいんです。

 

おかげで全線16分~17分の時間が、あっと言う間に過ぎてしまいました。

運転席と客席が分かれていないので、運転士の指差し確認する声が車内に響きます。

 

その声が、まるで走行案内をしているかのように聞こえ、退屈しませんでしたよ。

そのまま枇杷島駅で降車せずに折り返し、乗り続けたい気分になりました。




 

まとめ

 

 

城北線は、実用的に利用しようとすれば不便な部分が多く、利用価値は他の在来線と比べて圧倒的に低いでしょう。

私が起点から終点まで乗車した時も、利用した乗客は全員で15名ほどでした。

沿線住民からは、「城北線はいらない」「赤字をいつまで続ける気だ」「城北線はいずれ廃線になるだろう」と言われています。

 

しかし、このまま頑張って走り続けていれば、2032年にはローンを払い続ける線路がJR東海の所有物になる予定です。

 

そうなれば、その後はきっと利便性は向上し、料金の見直しも行われることでしょう。

路線も「JR城北線」になるかも知れませんね。

 

でも現状のままでも、快適さ・乗り心地の良さは圧倒的です。

 

普段の足としてではなく観光列車の感覚で乗れば、とても満足度は高いもの。

少しでも鉄道に興味があり、まだ城北線に乗ったことがない方は、ぜひ乗車してみることをおすすめしたいと思います。

 

出典 Wikipedia(東海交通事業城北線) 同(JR東海キハ11形気動車)

 

 

 

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