使い切り乾電池は大きく分けると、マンガン乾電池とアルカリ乾電池に区別されますね。
一般にアルカリ乾電池の方がパワフルなので、多くの方は買い置きにはアルカリ乾電池の方を購入すると思います。
ところで乾電池を使う機器の中で置時計や柱時計など、一部のものはマンガン乾電池を使わないといけないと言われます。
これって本当のことなんでしょうか?
実はこれ、本当のことでもあり、そうとは言い切れないことでもあるんです。
今回は、マンガン乾電池とアルカリ乾電池の使い分けに付いて、真相を追求してみたいと思います。
マンガン乾電池とアルカリ乾電池ってどこが違うの?
マンガン乾電池は、プラス極に二酸化マンガン・マイナス極に亜鉛、そして電解液に塩化亜鉛を使ったもの。
対してアルカリ乾電池は、プラス極に二酸化マンガン・マイナス極に亜鉛、電解液に水酸化ナトリウムを使ったものです。
こうして構成だけを見ると、両者には大きな違いはありません。
大きな違いとなるのは簡単に言えばパワーの違いで、一般グレードのアルカリ乾電池でもマンガン乾電池の2~3倍長持ちします。
もっと単純に言えばアルカリ乾電池は、マンガン乾電池のパワーアップ版と言えば良いでしょう。
例えばモーターを使う機器のように、1度に大きなエネルギーを必要とする用途だと、アルカリ乾電池の方が有利になるんです。
ではマンガン乾電池には、優位性は何もないのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
マンガン乾電池は、1度に大きなパワーを出せないし蓄電量も少ないのですが、断続的に使うと電力が回復する特性があります。
大きな電力を必要としない機器をちょこちょこ使うなら、長期に渡り使えるメリットを実は持っているんですね。
価格も、マンガン乾電池はアルカリ乾電池の半分程度で済みますから、使う機器によってはトータルでエコノミーになる訳なんです。
置時計・柱時計はなぜマンガン乾電池を使えと言うのか?
「時計にはマンガン乾電池を使いなさい」と言う話、あなたは聞いたことがありませんか?
またネット上で、テレビのリモコンはアルカリ乾電池ではなく、マンガン乾電池がおすすめと述べられた記事を見たことがあるかも知れませんね。
この理由は、これらの機器の使い方がマンガン乾電池の特性に向いているからです。
置時計や柱時計など、いわゆるWatchではなくClockに当たる時計には、通常わずかしか電力を使わないモデルがあります。
1分間に1度しか針が動かないようなタイプですね。
この時計に装てんされている乾電池は、タラリタラリと働いています。
タラリタラリと働いていることで、体力がすぐに回復してしまうので、アルカリ乾電池のようなパワーは不要と言う訳なんです。
それにアルカリ乾電池を使ってしまうと、パワフル過ぎて針が早く進んでしまい、正確な時刻を表示できなくなったりする弊害が生じることもあります。
テレビのリモコンも同じようなもの。
リモコンのボタンは断続的に押す使い方が普通で、押し続けるような使い方はあまりありません。
使うのは電源のON/OFF、ボリュームやチャンネルの切り替えの時くらいで、連続使用はしませんよね?
なのでマンガン乾電池を使っても、回復機能のおかげで長持ちするのです。
またマンガン乾電池はアルカリ乾電池と違い、長期に渡って使っても液漏れを起こしにくく、機器を痛める可能性が低いとも言われて来ました。
このようなことから置時計や柱時計、また、テレビのリモコンはマンガン乾電池を使うことを推奨されているのです。
しかし!!実のことを言うと、数年前から必ずしもそうとは言い切れない事態になりつつあるんです。
どんな事態なのか、次の項でお話しましょう。
結局マンガンを使うかアルカリを使うかはその機器の取説に従うべきだ
電器量販店やホームセンターへ行くと分かるのですが、ここ数年前から、販売されている乾電池はアルカリ乾電池が多く、マンガン乾電池が並ぶ数は減少しています。
どうしてなのかと言うと、マンガン乾電池に比べアルカリ乾電池の方がパワフルなことで、価格が高くても良く売れるからです。
その背景には、アルカリ乾電池が昔と比べより高性能化して、また大きな弱点であった液漏れ現象が極端に少なくなったことにあるでしょう。
それに従い、乾電池を使う機器に、アルカリを指定するものが増えて来たことにもあると思います。
また、マンガンでもアルカリでもどちらを使用しても良いと、あえて指定をしない機器もあります。
あなたがもし置時計や柱時計を使っていたら、もう1度、取扱説明書をご覧になって見て下さい。
恐らく「アルカリ乾電池をご使用下さい」と記されているのではないでしょうか。
時計も乾電池と同じように、進化しているんですね。
たまに「マンガン乾電池をご使用下さい」と、マンガンを指定するモデルもありますが、多分それは、現役でも設計された年式が古い型のものではないでしょうか。
このような時計には、絶対アルカリ乾電池を使用してはいけません。
マンガン乾電池を切らしているからとアルカリ乾電池をを使うと、正確な時を刻むことができなくなってしまうのです。
我が家の玄関にある置時計もアルカリ乾電池を入れたところ、一週間で30分も進んでしまいました。
そこでマンガン乾電池に戻したら、再び狂いの少ない頼れる時計になりました。
テレビのリモコンに付いても、以前とは要領が違います。
昨年末に購入した我が家のテレビの取扱説明書には、「リモコンの乾電池には単四乾電池をご使用下さい」とだけ書かれています。
マンガン・アルカリの指定がないのです。
念のためメーカーにメールで問い合わせたところ、「どちらでも構いません」と言う回答でした。
「マンガンを使用した方が良いのでは?」との問いには、「マンガンの使用でも十分性能を発揮しますが、お手元にアルカリしかなければそれでも問題はありません」とのこと。
結局、マンガン・アルカリどちらの乾電池を使えば良いかと言うのは、その機器の取扱説明書に従うべきなんですね。
時計のようにしっかり「マンガンを使用」と書かれているものは、必ずマンガン乾電池を使用しましょう。
マンガン・アルカリの指定がないものはどちらを使っても良いのですが、災害時の買い置きのことを考えると、パワフルなアルカリの方をたくさん買いたいもの。
ならば、今はアルカリ指定の機器が多いことからも、指定のない機器にもアルカリを使って良いのではないでしょうか。
まとめ
現在と違い、昔はアルカリ乾電池には液漏れと言う大きな弱点があり、マンガンで十分威力を発揮する機器にはマンガン乾電池がおすすめでした。
ところが今や、事実上マンガン乾電池とアルカリ乾電池の違いは、パワーだけになりつつあります。
「マンガンを使用」と指定された機器でもない限り、マンガン乾電池の使い道は少なくなって来ているのが現状です。
乾電池使用の機器をあなたが購入したら、使う前に一度、乾電池の種類の指定がないか確認しましょう。
補足ですが、マンガン乾電池とアルカリ乾電池は混合して使ってはいけません。
パワーダウンの早いマンガンを補強しようと、アルカリの寿命が本来より短くなってしまいます。
なので、両者を一緒に混ぜることは避けて下さいね。
価格がマンガン乾電池の方が安いとは言え、量販店で手に入りにくい現状を考えれば、パワーのあるアルカリ乾電池を購入してしまうのが人情ですよね。
将来的に見て、マンガン乾電池が姿を消して行くのは、時間の問題ではないかと私は考えています。